地震や津波時、消防団活動にマニュアル 大船渡市

 以前、三重県防災対策本部によって公表された「津波の浸水予測(平成23年度版)」についてご紹介しました。ここにはこうあります。
 
「50cmの程度の津波に巻き込まれると、避難が極めて難しくなることから、最大の津波到達まで決して待つことなく、早期に避難を開始し、避難を完了するまでの一つの目安となる時間としてお考えください」

【参照】過去の災害に学ぶ<3> 報道管制下で「隠された地震
http://d.hatena.ne.jp/oretachinonihon-2011/20120410


 今回の大震災では救助に向かう消防団員も多数犠牲となったため、消防団活動の安全管理マニュアルも策定されました。以下はそれについての記事です。


・・・東日本大震災消防団員が犠牲になったことを受け、大船渡市は地震津波災害時における消防団活動の安全管理マニュアルを策定した。津波警報発表からの活動時間を20分と設定し、団員自らの命を守ることを優先する内容。9日の定例記者会見で発表したもので、今後団員らへの周知徹底を図っていく。
 今年3月11日現在の消防庁まとめによると、東日本大震災では全国で254人の消防団員が犠牲になった。このうち、県内では119人、市内では避難誘導などにあたっていたとみられる3人が殉職している。
 「団員自らが命を守り、二度と殉職団員を出さない」を最大テーマとしたマニュアルは、震災後に消防庁から退避ルールを明確化した安全管理対策の求めも受けて策定。
 地震津波時の対応を主にしており、▽活動時間を20分に設定し、退避優先を徹底▽退避命令を団員に伝達する手段の複数確保▽現場状況や情報などで危険察知した場合は20分前でも直ちに退避命令を出す▽勤務地などから屯所に向かう際、通行が危険と判断した場合は安全確認後とする─などとしている。
 “20分ルール”としての時間設定は、マニュアル化以前からの目安をはじめ、越喜来湾で25分という宮城県沖地震津波シミュレーションの第1波到達予想時間、東日本大震災の最大波高到達時間(約30分)などに基づき、退避時間なども考慮して決めた。
 震災後、各分団に対して従来からのアナログ無線に加え、デジタル型トランシーバー4、5台を配備。課題としてあげられる伝達手段については、これら機器の活用で対応する構えだ。
 同市内の消防団員は995人。前野浩哉大船渡消防署長は「沿岸部だけでなく内陸部の団員が応援に向かうこともある。幹部会などを通じて全域に周知徹底を図る」とする。
 合わせて同署では「住民の生命を守るべき消防団員が20分ルールで退避することには事前に市民の理解を得ることが必要不可欠」とし、自主防災組織や婦人防火クラブなどへも周知することにしている・・・

東海新報(2012年8月10日付) より引用
http://www.tohkaishimpo.com/scripts/index_main.cgi?mode=kiji_zoom&cd=nws7879


【サイト内関連記事】
・過去の災害に学ぶ<6> チリ地震(1960)と遠地津波への対処
http://d.hatena.ne.jp/oretachinonihon-2011/20120524/1337894726

・過去の災害に学ぶ<5> 明治三陸地震(1896)と「遠野物語」 〜 山田町船越
http://d.hatena.ne.jp/oretachinonihon-2011/20120425

・過去の災害に学ぶ<4> 明治三陸地震(1896)と誘発地震
http://d.hatena.ne.jp/oretachinonihon-2011/20120424

・過去の災害に学ぶ<3> 報道管制下で「隠された地震
http://d.hatena.ne.jp/oretachinonihon-2011/20120410

・過去の災害に学ぶ<2> 日本付近で発生した主な被害地震 〜 1943年からは4年連続で発生
http://d.hatena.ne.jp/oretachinonihon-2011/20120408

・過去の災害に学ぶ<1> 日本全国の言い伝え
http://d.hatena.ne.jp/oretachinonihon-2011/20120407

東京消防庁派遣隊
http://d.hatena.ne.jp/oretachinonihon-2011/20110412