「南十字星」

 冬空に星の話題を2つご紹介します。

・・・県警の身元不明・行方不明者捜査班に「南十字星」の差出人名で手紙と現金3万円入りの封書が届き、県警は花を購入し県内9カ所の遺骨安置所に献花することを決めた。

 石巻市南境の石巻霊園内にある市遺骨安置所には12日、県警と市の関係者9人が訪れ、花束をささげた。山形市の山形学院高の生徒から贈られたクリスマス用飾りも合わせて飾られた。

 封書の消印は11月26日で「徳島中央」だった。便箋2枚に、報道を見て捜査班の活動を知った経緯や「日夜続けられる捜査に頭が下がった」などと記されていた。

 捜査班の金野芳弘検視官は「震災から1年9カ月たっても亡くなった方を思ってくれる人がいる。一体でも多く家族の元へ返したいという思いが一層強くなった」と感謝した。

 石巻市遺骨安置所には、東日本大震災の犠牲者とみられる身元不明の遺骨が56柱が安置されている。献花とクリスマス飾りの献呈は東松島市や女川町でも行われた・・・(以下略)

三陸河北新報社(2012年12月13日付)より引用
http://www.sanriku-kahoku.com/news/2012_12/i/121213i-kenka.html


【関連記事】
・・・冬空に光跡を描く「ふたご座流星群」が13日夜から14日未明にかけて観測のピークを迎え、全国各地で天文愛好家らを楽しませた。
 渡り鳥の飛来地として知られ、周辺が東日本大震災津波で浸水した宮城県石巻市河北町の富士沼でも、ハクチョウが羽を休める上空に流星が次々と現れた。
 ことしは新月と重なり、月明かりに邪魔されない好条件。夜空は時折薄い雲に覆われたが、多いときで1時間に10個以上が確認された。
 ふたご座流星群は1月のしぶんぎ座流星群、8月のペルセウス座流星群と並ぶ三大流星群の一つ。数は少なくなるが、16日ぐらいまで観測できるという・・・

河北新報社(2012年12月15日付)より引用
http://www.kahoku.co.jp/news/2012/12/20121215t15023.htm


国立天文台ふたご座流星群について
http://www.astroarts.co.jp/special/2012geminids/index-j.shtml

国立天文台こぐま座流星群について(2012年12月22日極大)
http://www.astroarts.co.jp/alacarte/2012/201212/1222/index-j.shtml

国立天文台しぶんぎ座流星群について(2013年1月3日極大)
http://www.astroarts.co.jp/alacarte/2013/201301/0103/index-j.shtml



【サイト内関連記事】
・息の長い復興支援を
http://d.hatena.ne.jp/oretachinonihon-2011/20121031

・被災地を明るく ― 向日葵見ごろに
http://d.hatena.ne.jp/oretachinonihon-2011/20120901

・「夏の夜、流れ星を数えよう」
http://d.hatena.ne.jp/oretachinonihon-2011/20120810

・桜
http://d.hatena.ne.jp/oretachinonihon-2011/20120325

・元旦・鶴・富士
http://d.hatena.ne.jp/oretachinonihon-2011/20120101

・「希望の一本松」 〜 枯死するも接ぎ木や実生からは新たな苗、後継樹の育成へ
http://d.hatena.ne.jp/oretachinonihon-2011/20111231

・海底のがれき撤去作業
http://d.hatena.ne.jp/oretachinonihon-2011/20111226

・一人でも多く 〜 続く捜索活動
http://d.hatena.ne.jp/oretachinonihon-2011/20110719/1311029618

ハイチ地震(2010)とハリケーン・サンディ(2012)による複合的被害

 2010年1月12日に発生したハイチ地震(M7.0)は、31万人以上の死者を出し、370万人が被災しました。日本政府は追加支援も含め7500万ドルの支援を行いました。それに伴う陸上自衛隊施設部隊のハイチでの国連平和維持活動(PKO)に業務終結命令が、10月15日に出たばかりで、撤収作業に入っているところでした。

資料:外務省プレスリリース「ハイチに対する無償資金協力に関する書簡の交換」(平成24年10月5日)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/24/10/1005_01.html

 今回、発生したハリケーン・サンディはまずカリブ海を通過し、アメリカへ上陸、多大な被害をもたらしました。途中、ハイチも暴風雨に見舞われ、現時点(10月30日)で、アメリカ同様50人以上の死者が出ています。2010年の地震の後、洪水によりコレラが蔓延、また地震後、仮設住宅に住む人の住宅も、以下の記事によれば、多数失われている模様です。

・カリブ諸国の被害情報<ハイチ、キューバ、ジャマイカバハマ、ドミニカ、プエルト・リコ
"A look at Caribbean deaths and damage from Hurricane Sandy," Washington Post. 30 October 2012.
http://www.washingtonpost.com/world/the_americas/a-look-at-caribbean-deaths-and-damage-from-hurricane-sandy/2012/10/30/b619da7c-22d2-11e2-92f8-7f9c4daf276a_story.html

・ハイチの被害情報
"‘It is misery’: A video of Haiti’s camps after Sandy," Washington Post. October 29, 2012
http://www.washingtonpost.com/blogs/worldviews/wp/2012/10/29/it-is-misery-a-video-of-haitis-camps-after-sandy/


資料:ハイチ共和国の基本情報(外務省の資料による)
1.面積:27,750平方キロメートル(四国と九州の中間程度の面積)
2.人口:1008.9万人(2010年 ECLAC)
3.首都:ポルトープランス



【サイト内関連記事】
・過去の災害に学ぶ<7> 歴史は等身大の“実験室”
http://d.hatena.ne.jp/oretachinonihon-2011/20120910

・過去の災害に学ぶ<6> チリ地震(1960)と遠地津波への対処http://d.hatena.ne.jp/oretachinonihon-2011/20120524

・過去の災害に学ぶ<5> 明治三陸地震(1896)と「遠野物語」 〜 山田町船越
http://d.hatena.ne.jp/oretachinonihon-2011/20120425

・過去の災害に学ぶ<4> 明治三陸地震(1896)と誘発地震
http://d.hatena.ne.jp/oretachinonihon-2011/20120424

・過去の災害に学ぶ<3> 報道管制下で「隠された地震
http://d.hatena.ne.jp/oretachinonihon-2011/20120410

・過去の災害に学ぶ<2> 日本付近で発生した主な被害地震 〜 1943年からは4年連続で発生
http://d.hatena.ne.jp/oretachinonihon-2011/20120408

・過去の災害に学ぶ<1> 日本全国の言い伝え
http://d.hatena.ne.jp/oretachinonihon-2011/20120407

息の長い復興支援を

 大学と被災地の間を結ぶ継続的な復興支援についての情報です。
 岩手大学は以下の記事にある「宮古エクステンションセンター」だけでなく、昨年「三陸復興推進本部」を設置(本年4月からは「岩手大学三陸機構」に拡充)、活動拠点として「釜石サテライト」(2011年10月)、「久慈エクステンションセンター」(2012年4月)を開所しています。

資料:岩手大学復興支援活動MAP
http://www.iwate-u.ac.jp/reconstruct/file/katsudou_map.pdf

・・・神戸大キャリアセンター(城仁士センター長)は13日、陸前高田市高田町上和野地区の町内会、自主防災会とそれぞれ地域連携協定を結んだ。住民の協力を受けながら、息の長いボランティアやまちづくり調査などを行う。

 調印式は同地区の和野会館で行われ、関係者約20人が出席。町内会の石川和見会長(62)と自主防災会の村上嘉次郎会長(68)がそれぞれ、城センター長と協定書に調印した。

 同大の学生、教員らは今後、同地区を拠点にボランティアや防災・減災調査、被災体験の聞き取り、まちづくり調査などを展開。住民は和野会館を宿泊場所に提供したり、調査に協力する。
 
 同地区は震災後、ボランティアや調査に訪れる同大の学生らを積極的に受け入れており、協定は交流を継続化するために結ばれた(以下略)

岩手日報(2012年10月14日付)より引用
http://www.iwate-np.co.jp/hisaichi/y2012/m10/h1210143.html


・・・岩手大(藤井克己学長)は1日、宮古地域の復興支援の拠点となる「宮古エクステンションセンター」を宮古市新川町の市産業支援センター内に開設した。沿岸の拠点開設は釜石市久慈市に続き3カ所目。被災地のニーズを収集し、円滑な支援実現につなげる。

 開所式は同市新川町の市役所で行われ、藤井学長と山本正徳市長が覚書を締結。藤井学長は「市との太い絆を力に復興支援に弾みをつけたい」と意欲を示し、山本市長も「震災前から多くの地域課題に対応してきた岩手大の活動に期待したい」と感謝した。

 センターにはスタッフ1人が常駐。支援を求める宮古地域の企業・団体と連絡調整を行い、同大が培った研究情報を提供する。同大と連携した支援の企画立案や復興プロジェクト推進も図る(以下略)

岩手日報(2012年10月2日付)より引用
http://www.iwate-np.co.jp/hisaichi/y2012/m10/h1210025.html


【サイト内関連記事】
・学校<3> 校舎という「箱」
http://d.hatena.ne.jp/oretachinonihon-2011/20120831

・学校<2> 「心に刻んだ最後の演奏」
http://d.hatena.ne.jp/oretachinonihon-2011/20120829

・学校<1> 立て札「運動駐車場」〜見慣れぬ道を通って
http://d.hatena.ne.jp/oretachinonihon-2011/20120714

・「ふるさと」 〜 これまで見えていなかったもの
http://d.hatena.ne.jp/oretachinonihon-2011/20120717

仰げば尊し − 五年後 − 二十歳
http://d.hatena.ne.jp/oretachinonihon-2011/20110402

ひょっこりと 大槌町

 「ひょっこりひょうたん島」のモデルとなった蓬莱島のあるの岩手県上閉伊郡大槌町でのニュースです。また臨時災害放送局「おおつちさいがいエフエム」では町外避難をされている方のためにインターネットによる同時配信も行っています。詳細は以下をご覧ください。
http://www.town.otsuchi.iwate.jp/docs/2012032800013/

 また、下に仮設店舗情報を掲載しました。


・・・大槌町小鎚の小鎚第12仮設団地集会所の花壇に、同町のマスコット的存在のヒョウタンがたわわに実り、住民らの目を楽しませている。

 集会所の支援員らが5月ごろに種を植え、育てている。高さ約2メートルに成長したつるには花が100輪以上も咲いたが、実になったのは五つだけ。そのうち二つが30センチ前後まで大きくなった。近く収穫して飾りに加工する予定。

 「ひょっこりひょうたん島」と縁が深い同町。同仮設団地に住む女性(82)は「毎朝成長を見るのを楽しみにしている。ずいぶん大きくなった」と喜ぶ・・・

岩手日報(2012年9月4日付)より引用
http://www.iwate-np.co.jp/hisaichi/y2012/m09/h1209041.html



大槌町仮設店舗情報】
・小鎚・蕨打直仮設店舗(わらびっこ商店街)
住所:上閉伊郡大槌町小鎚第17地割
http://kickoff-rias.com/?page_id=131

・大槌北小仮設店舗(福幸きらり商店街)
住所:上閉伊郡大槌町大槌第23地割
A・B棟 http://kickoff-rias.com/?page_id=133 
C・D棟 http://kickoff-rias.com/?page_id=136
E・F棟 http://kickoff-rias.com/?page_id=138

・和野地区仮設店舗(恵水講スマイル商店街)
住所:上閉伊郡大槌町大槌第5地割
http://kickoff-rias.com/?page_id=153

吉里吉里・望洋ヶ丘地区仮設店舗(ニコニコ出会いの広場)
住所:上閉伊郡大槌町吉里吉里4丁目
http://kickoff-rias.com/?page_id=155

・浪板地区仮設店舗(浪板真心SHOP)
住所:上閉伊郡大槌町吉里吉里第9地割
http://kickoff-rias.com/?page_id=157



【サイト内関連記事】
・被災地を明るく ― 向日葵見ごろに
http://d.hatena.ne.jp/oretachinonihon-2011/20120901

・「おらほのラジオ体操」 〜 お国言葉の温かみ
http://d.hatena.ne.jp/oretachinonihon-2011/20120628

・「被災地に立ち上がったエフエム局を代表して」 〜 みやこ災害エフエム
http://d.hatena.ne.jp/oretachinonihon-2011/20120526

・「共に生きようとする気持ち」
http://d.hatena.ne.jp/oretachinonihon-2011/20120309

・「人材育成が好循環を生み出す」 〜 震災後の雇用対策の課題
http://d.hatena.ne.jp/oretachinonihon-2011/20111112

・「岩手東海新聞」から「復興釜石新聞」へ
http://d.hatena.ne.jp/oretachinonihon-2011/20110904

・溶接機の無償譲渡 〜 設備提供のマッチング
http://d.hatena.ne.jp/oretachinonihon-2011/20110831

・「『未曽有』という言葉で覆い尽くすのではなく、検証が必要」
http://d.hatena.ne.jp/oretachinonihon-2011/20110819


過去の災害に学ぶ<7> 歴史は等身大の“実験室”

 過去に発生した大地震のなかには連続して起こったものが多くあります。以下はそれについての記事です。記事の中に出てくる地震は「貞観地震」(869)、「元禄関東地震」(1703)、「宝永地震」(1707)、「宝永大噴火」(同年)、「安政東海地震」(1854)、「安政南海地震」(同年)、「安政江戸地震」(1855)、「大正関東地震」(1923)です。
このうち、いわゆる「安政三大地震」と呼ばれる「安政東海地震」「安政南海地震」と「安政江戸地震」の間には、「豊予海峡地震」も起こっています。下に一覧にしてまとめました。

貞観地震」 869年7月9日 マグニチュード(M)8.3−8.6
「元禄関東地震」 1703年12月31日  マグニチュード(M)7.9−8.2
「宝永地震」 1707年10月28日  マグニチュード(M)8.4ないし8.7
宝永大噴火」 1707年12月16日
安政東海地震」 1854年12月23日  マグニチュード(M)8.4
安政南海地震」 1854年12月24日  マグニチュード(M)8.4ないし8.5
豊予海峡地震」 1854年12月26日  マグニチュード(M)7.4
安政江戸地震」 1855年11月11日  マグニチュード(M)6.9
「大正関東地震」 1923年9月1日  マグニチュード(M)7.9

 また「安政江戸地震」は首都直下型地震です。東京都では今年4月に被害想定を公表していますので、以下も併せてご覧ください。

東京都総務局:「首都直下地震等による東京の被害想定」(平成24年4月18日公表)
http://www.bousai.metro.tokyo.jp/japanese/tmg/assumption_h24.html


・・・歴史は繰り返す。地震の歴史も繰り返す。東海・東南海・南海が三連動する巨大地震と、首都を襲う大地震も無縁でなさそうだ。その史実に学びたい。
 寒川旭(さんがわあきら)氏(地震考古学)が著した「地震の日本史」(中公新書)が、あらためて注目されている。列島で起きた数々の地震を文献や遺跡から精査した成果である。
 例えば一七〇三年に起こった「元禄関東地震」について、江戸中期の学者新井白石が「折たく柴の記」に記した記録を抽出する。
 「地おびただしく震ひ始て、目さめぬれば、(中略)ここかしこの戸障子皆たふれぬ」

三大都市圏がやられた

 他にも房総半島から伊豆半島にかけて、津波が襲った記録がある。この地震相模湾のプレート境界から発生した海溝型と考えられ、マグニチュード(M)8・2だった。大正時代の一九二三年に起きた関東大震災がM7・9だから、その大きさがわかる。
 恐ろしいのは、その四年後の一七〇七年に「宝永地震」が起きていることだ。この地震では、浜松城下(静岡県)から、高知城下(高知県)まで大きな被害を出した記録がある。四国南西端の神社にある四十二段の石段の三十九段まで、津波が駆け上がったというから、その巨大さが察せられる。
 大阪湾にも津波が来て、数百隻の大船が、道頓堀などにまで押し寄せた。その記録も「今昔地震津浪記」などに残る。尾張藩(愛知県)の御畳奉行朝日文左衛門の日記「鸚鵡(おうむ)籠中記」にも、武家屋敷の塀の七、八割が崩れたと記されている。駿河湾から四国沖に延びる南海トラフで、プレートが動いたといわれる。
 しかも、四十九日後には、富士山が噴火した。「宝永大噴火」である。「折たく柴の記」は「雪がふり下るがごとく」と、江戸に火山灰が降った様子を記した。

◆文書と遺跡の史料で

 酷似したケースが一八五四年にも起きた。東海地方の沿岸部を中心に大津波が襲った「安政東海地震」である。ロシア大使プチャーチンが乗った「ディアナ号」が津波を受けて、駿河湾に沈没したことでも有名だ。
 その翌日には「安政南海地震」が起き、大坂(大阪)が大きな被害を受けた。和歌山県の広村(当時)で「稲むらの火」により、村人が救われた逸話も知られる。庄屋が高台にあった稲束に火をつけて、津波を知らせたのだ。
 これも南海トラフが連動して、大地震をもたらしたケースだった。さらに注意したいのが、翌年の五五年に「安政江戸地震」が起きた点だ。
 沿岸部ばかりでなく、現在の葛飾区や足立区でも液状化し、文京区内の水戸藩邸では即死者四十六人、負傷者八十四人を出した。この地震もプレートの境界で発生したとの説がある。
 元禄・宝永と安政−、二時期の巨大地震の事例が示すのは、現代の首都圏、名古屋圏、大阪圏の三大都市圏が、一年から四年の幅で相次ぎ被災したことだ。
 「過去の地震のことを知っている必要があります」と寒川さんは強調する。「自分の地域の被害を知っていれば、逃げ方も違うはずです。日本は特別に多く古い文書が残っています。考古学の遺跡調査でも、いつ地震が起きたかがわかります。文書と遺跡、二つの史料がそろっているメリットをもっと生かすべきです」
 確かに南海地震の最古の記録は「日本書紀」にある。六八四年に「大きに地震(ないふ)る。(中略)山崩れ河湧く」と記されている。東日本大震災でも、「日本三代実録」の「貞観地震」(八六九年)と酷似していることが指摘された。
 日本列島は「ユーラシア」「北アメリカ」「太平洋」「フィリピン海」のプレートがせめぎ合う。その境界でも、無数に走る活断層でも大地震は起こる。
 東京都は四月に、首都直下地震などの被害想定を出した。死者は最大で約九千七百人で、区部の約七割が、震度6強以上の揺れに襲われるという。内閣府南海トラフのM9クラスの巨大地震の被害想定を公表した。極限のケースだと、最悪約三十二万人もの死者が出るという驚くべき数字だ。東海・近畿地方の被害が甚大だ。

◆等身大の“実験室”だ
 三大都市圏がやられたら…。そこには原発もある。背筋が寒くなる現実に向き合わねばならない。首都機能の分散化などにも本腰を入れる必要がある。
 地震の歴史に学ぶことは多いはずだ。防災対策に地震考古学をもっと活用すべきである。寒川さんは、こう語っている。
 「科学は実験室で得られたデータを基にします。歴史は、等身大の“実験室”です。その結果を使わない手はありません」・・・

東京新聞(2012年9月1日付社説)より引用
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2012090102000141.html


・『折たく柴の記』(おりたくしばのき):新井白石(1657〜1725)の自叙伝。1716年頃執筆開始。三巻。
・『鸚鵡籠中記』(おうむろうちゅうき):朝日重章(1674〜1718)の日記。1691年執筆開始。後25年以上にわたる。


・東京MXTV:都が震災想定見直し 最大9700人死亡、従来予想の1.5倍




【サイト内関連記事】
・過去の災害に学ぶ<6> チリ地震(1960)と遠地津波への対処
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・過去の災害に学ぶ<3> 報道管制下で「隠された地震
http://d.hatena.ne.jp/oretachinonihon-2011/20120410

・過去の災害に学ぶ<2> 日本付近で発生した主な被害地震 〜 1943年からは4年連続で発生
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・過去の災害に学ぶ<1> 日本全国の言い伝え
http://d.hatena.ne.jp/oretachinonihon-2011/20120407

「防災の日」<2> 防災情報のバリアフリー

 前回に引き続き、防災訓練についてです。今回は障害者や高齢者を災害から守る地域づくり、その取り組みについての情報です。
 また東京消防庁視覚障害者向けの「録音図書」を制作しています。総収録時間は、CD版、カセットテープ版とも約2時間30分、「安心・安全な生活を送るために都民に知ってもらいたい防火防災に係る情報及び消防の歴史や過去の地震といった消防に関する豆情報の2部構成」になっているとのことです。詳しくは以下の資料をご覧下さい。CD版は、デジタル録音図書の国際標準規格であるDAISY(Digital Accessible Information System)で制作されています。

東京消防庁:報道発表資料「東京消防庁視覚障害者向け『録音図書』を制作」(平成23年12月8日)
http://www.tfd.metro.tokyo.jp/hp-kouhouka/pdf/231208.pdf


・・・巨大地震に備える防災訓練が1日、広島県内であった。東日本大震災を踏まえ、障害者や高齢者を災害から守る地域づくりの取り組みが見られた。

 南海トラフ地震を想定し、福山市草戸町の芦田川河川敷と光小であった県の総合防災訓練には、同市を拠点とするびんご聴覚障害者防災連絡協議会が初めて参加。音声以外での情報伝達の方法などを確認した。

 聴覚障害者たちメンバー16人は、倒壊した家屋の下敷きになったとし、自宅に備えている笛を吹いて助けを求めた。救出された後、指定避難場所の光小へ移動。県防災会議などが今回初めて受付に置いたイラスト付き意思伝達カードで、「手話が必要」「ご飯、水をください」と伝えた。

 金尾千三会長(72)=同市沖野上町=は「耳や口が不自由なので心構えが必要。参加できなかった会員にも避難手順を確認するよう伝えたい」と話した。

 広島市南区の県健康福祉センターでは、介護を必要とする高齢者を災害時にどう支えるべきかを探る机上訓練があった。NPO法人の県介護支援専門員協会(南区)が企画し、地域包括支援センター介護保険施設に勤める介護支援専門員たち50人が参加した。

中国新聞(2012年9月2日付)より引用
http://www.chugoku-np.co.jp/News/Tn201209020034.html


・・・防災の日 箕輪町総合防災訓練−二次避難所設置訓練 初実施
 
 9月1日は防災の日です。
 箕輪町では総合防災訓練が行われ、松島区の社会福祉体育館では、大規模災害を想定し、二次避難所の設置訓練が初めて行われました。
 訓練は、東海地震伊那谷断層帯地震の発生を想定し行われました。
 午前8時17分、避難勧告の放送が町内に流れると、地区ごとに住民が避難を開始しました。  このうち、松島区の社会福祉体育館では、公民館などの避難所に入りきれなかった避難民を受け入れる二次避難所の設置訓練が行われました。
 訓練には、区民や町、社協の関係者などおよそ300人が参加しました。
 箕輪町では今年3月に地域防災計画の修正を行い、二次避難所や福祉避難室の設置などを新たに計画に盛り込みました。
 避難所では怪我をした人や障害者、妊婦など、10ほどのグループに分け、運営側と避難者役の人たちが、必要な物や対応などについて確認をしていました。
 参加者からは「知的障害を抱えた人は環境が変わると落ち着かなくなるので、気分を落ち着かせる為に、折り紙や絵を描く為の画用紙などの準備が必要」、「車いすを利用している人がリラックスできるよう、マットを敷いて休んでもらう場所を作った」などといった意見が出されていました。
 視察に訪れた、平澤豊満町長は「今回の訓練の経験を他の町民に伝え、いざというときには皆さんがリーダーシップをとり、被災した人たちが安心して避難できる環境を作ってほしい」と話していました。

手話通訳者が初の参加−箕輪町沢区の避難訓練

 沢区の訓練では聴覚障害者のために、今回初めて手話通訳者が訓練に参加しました。
 2人の聴覚障害者がその都度出される指示などを、手話を通じて確認していました。
 訓練に参加した江口功さんは「今まで参加していて理解できないこともあったが、今回はわかりやすく良かった」と話していました。
 唐澤勉区長は「健聴者の立場で今までないがしろにしている部分だった。これからは通訳にも入ってもらい、耳が聞こえない人たちにも積極的に参加してもらえるよう呼びかけていきたい」と話していました。
 沢区の訓練にはおよそ200人が参加して、AEDの使い方や消火訓練などを行い、災害時の対応を確認していました・・・

伊那毎日新聞(2012年9月1日付)より引用
http://inamai.com/news.php?c=shakai&i=201209011945210000048423


・・・視覚障害者のための情報提供ツールの1つに音声で伝える「音訳」があります。東京消防庁は今月、防火防災情報を録音した視覚障害者向けの録音図書を初めて制作しました。

 墨田区特別養護老人ホームで機能訓練指導員として働く川崎一幸さんは15歳の時に視神経の炎症を起こし、視力が急激に低下しました。いまは視界の大部分がぼやけてほとんど見えません。東日本大震災の日、川崎さんは通い慣れた道を歩いて帰ったため特に困ったことはありませんでしたが、電光掲示板などに表示されている情報が読めず苦労した人もいたといいます。川崎さんは「トイレを我慢してずっと動けず苦しかったという人もいる。聴覚障害者・視覚障害者は情報不足で孤立してしまう」と話します。
 東日本大震災を教訓に、東京消防庁視覚障害者向けに防火防災情報をまとめた録音図書を初めて制作しました。録音内容のベースとなったのは3年前から葛飾区の本田消防署が独自に制作していた音訳防災情報です。本田消防署の近藤寛消防指令補は「首都直下型地震による葛飾区の被害想定が公表され、その中で区の死者数の36%が災害時要援護者ということで、初めは点字でパンフレットを配ったが、約9割が点字が読めないという情報を受けて、音訳をやった」と話します。収録時間はおよそ2時間半で、防火・防災に関するさまざまな情報が盛り込まれていますが、視覚障害者には実施が難しい“おぼれている人を見つけた場合の救助方法”などの内容も含まれています。これについては本田消防署の近藤さんは「『視覚障害者だからといった特化した内容はやめてくれ、同じように扱ってくれ』と言われ、同じ情報を載せている」と話します。
 制作のノウハウが分からなかった本田消防署に区が紹介してくれたのが葛飾音訳ボランティアの会です。専門の講座を受けたおよそ40人のメンバーが録音図書の制作や対面朗読などの活動を行っています。葛飾音訳ボランティアの会の鶴岡幸子さんは「初めて視覚障害者用の資料を作った東京消防庁と、初めから視覚障害者用と思って作っているボランティアの会で、見出しの付け方なんかで話し合いが長引いて大変だった」と振り返ります。
 今回の録音図書は本田消防署とボランティアの会が3年間発信し続けてきたものの総集編ともいえます。川崎さんは「『聴覚障害者の人にはこういうシステムがある』とか、知らなかったこともある。あれば便利だと思う」といい、さらに日々の生活の中でも情報量の少なさがネックになっているとして「(障害者は)選択をできない。普通の人は目に入るものを見てその中から自分が必要な情報を抜いていくが、障害者はまず入り口が少ない。録音図書があるよという広報もいろいろな形でしてほしい」と話します。
 東京消防庁録音図書を図書館や障害者施設などに配布し、視覚障害者のための情報保障を進めていきたいとしています。

 東京都福祉保健局によりますと、身体障害者手帳の交付を受けている視覚障害者はおよそ3万9000人いるということです。東京消防庁はこれまでの点字や音声QRコードに加えて録音図書の普及を進め、障害のある人が「知らなかった」ということがないよう、情報量の拡充を図りたいとしています・・・

東京MXNEWS(2011年12月21日付)より引用
http://www.mxtv.co.jp/mxnews/news/201112217.html

・全国音訳ボランティアネットワークHP
http://onyaku.net/

・東京MXTV東京消防庁視覚障害者向けの録音図書



【関連記事】「災害時に避難誘導など支援 視覚障害者施設と地元企業が協定」(東京MXNEWS:2012年1月30日付)
http://www.mxtv.co.jp/mxnews/news/201201307.html




【サイト内関連記事】
・「防災の日」<1>  〜 課題を浮かび上がらせる訓練を
http://d.hatena.ne.jp/oretachinonihon-2011/20120902

地震津波時、消防団活動にマニュアル 大船渡市
http://d.hatena.ne.jp/oretachinonihon-2011/20120830

・震災復興における街づくり 〜バリアフリーとシミュレーション
http://d.hatena.ne.jp/oretachinonihon-2011/20120814

原子力防災訓練のあり方 <1>〜<2>
http://d.hatena.ne.jp/oretachinonihon-2011/20120709

・過去の災害に学ぶ <1>〜<6> 
http://d.hatena.ne.jp/oretachinonihon-2011/20120524

「防災の日」<1>  〜 課題を浮かび上がらせる訓練を

 フィリピン沖の地震津波注意報が出され、全国各地の警察や消防が沿岸部の警戒に当たったばかりの9月1日、全国で防災訓練が行われました。都内でも首都直下型地震を想定した防災訓練、西日本各地でも南海トラフの巨大地震を想定した大規模な防災訓練が行われています。
 避難だけでなく避難所を運営するための訓練が行われたという記事、それから「課題を浮かび上がらせる訓練」を説く「被災地から手本を示す」と題された論説もありましたのでご紹介します。後者には「さまざまな訓練や演習で指摘される問題点は防災・減災対策の練り直しにつながる。(福島)県は地域防災計画の見直しに当たって、県民の意見を広く聞くパブリックコメントを近く受け付ける」とありますので、浮かび上がった課題を住民の側からフィードバックすることも可能になります。

 なおフィリピン沖の地震に関連して、遠地津波(その地点で地震波動を感じないような遠方の地震による津波)については、以下の記事もご参照ください。気象庁の関連ページも再掲します。

・過去の災害に学ぶ<6> チリ地震(1960)と遠地津波への対処
http://d.hatena.ne.jp/oretachinonihon-2011/20120524


・最新の遠地地震についての情報は以下の気象庁のページからご覧になれます。
http://www.jma.go.jp/jp/quake/quake_foreign_index.html

気象庁南鳥島気象観測所のページ
http://www.data.kishou.go.jp/obs-env/minamitorishima/

気象庁・Northwest Pacific Tsunami Advisory
http://www.jma.go.jp/en/distant_tsunami/WEPA40/indexo.html




・・・「防災の日」の1日、東日本大震災後初の県総合防災訓練(県、釜石市共催)が、釜石市で実施された。昨年3月11日の震災の教訓から、二度と多くの人命が犠牲にならないよう、住民や防災関係機関が連携し、高台への避難方法や避難所の運営の仕方、各機関同士の連携など実践的な51項目の訓練を実施。有事の対応を確認した。

 震災の教訓を踏まえ、関係機関が住民に披露するだけでなく、全市民を対象とした参加型で、より実践的な訓練を計画。三陸沖を震源東日本大震災と同程度の地震が発生し、本県に大津波警報が発令されたとの想定で実施した。高台への避難訓練では、防災行政無線での呼び掛け方について、緊迫した状況を伝えるために「避難を指示します」から「避難せよ」と、時間の経過とともに命令口調に変えて対応した。

 避難所を運営するための訓練も初めて行われた。同市中妻町の釜石中で、住民が避難者名簿の作成のほか、生活スペース確保のための間仕切りの設置、支援物資の受け入れ、炊き出し準備などを展開し、手順を確認した・・・(以下略)

岩手日報(2012年9月2日付)より引用
http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20120902_3


・・・宮城県沖を震源地とする地震が8月30日未明に発生した。仙台市震度5強福島市富岡町で震度3を記録した。東日本大震災の余震とみられる。「3・11」は継続していると受け止めなければならない。
 県は9月1日の「防災の日」に合わせ、大規模な総合防災訓練を毎年繰り返してきた。かつて2年に1度だった原子力防災訓練は平成12年から年1回とした。今年度は大震災への対応を優先し、見送られている。
 県は11月を目標に県地域防災計画を見直す作業に当たっている。当面は、初動対応の在り方を重点的に改め、来年度以降も他の分野の修正を検討する。見直しがある程度進んだ段階で、本格的な訓練を復活させ、実践的な計画づくりに生かすべきだ。
 地域、学校、職場などの身近な活動を新しい地域防災計画に反映させることも大切だ。大震災と原発事故を受けた取り組みが「防災の日」の前後に県内各地で行われている。県と災害時応援協定を結んでいる企業・団体は31日、県との間で連絡の取り方などを確認した。1日は、いわき市沿岸部の住民が津波避難訓練に臨む。国、県、市町村は地震や大雨を想定した情報伝達の演習なども繰り広げている。
 さまざまな訓練や演習で指摘される問題点は防災・減災対策の練り直しにつながる。県は地域防災計画の見直しに当たって、県民の意見を広く聞くパブリックコメントを近く受け付ける。県民や企業・団体は、県や市町村の防災対策への意見を積極的に出してほしい。
 訓練内容の再考も欠かせない。これまでは、行政などの主催者側が用意した台本通りの進行や、参加者に見せるだけの「展示型」の傾向があった。訓練は課題を浮かび上がらせることに大きな狙いがある。台本や事前通告をなくした場面を取り入れれば、有事の対応に役立つ。
 市町村も地域防災計画の点検や修正に取り掛かっている。大震災と原発事故は、県や市町村の垣根を越えた住民避難、情報・物資のやり取りなどの対応を迫った。県と市町村の計画、あるいは県外の自治体の計画と、どのように関連させるのかも重要だ。
 年に一度の「防災の日」に加え、県民と行政が一体で災害への備えを確かめ合う機会を本県独自に設けるべきだ。震災の記憶を後世に語り継ぐことにも結び付く。大震災の教訓を生かし、全国の手本となる取り組みを被災地から発信したい・・・

福島民報(2012年9月1日付論説)より引用
http://www.minpo.jp/news/detail/201209013419



【サイト内関連記事】
地震津波時、消防団活動にマニュアル 大船渡市
http://d.hatena.ne.jp/oretachinonihon-2011/20120830

・震災復興における街づくり 〜バリアフリーとシミュレーション
http://d.hatena.ne.jp/oretachinonihon-2011/20120814

原子力防災訓練のあり方 <1>〜<2>
http://d.hatena.ne.jp/oretachinonihon-2011/20120709

・過去の災害に学ぶ <1>〜<6> 
http://d.hatena.ne.jp/oretachinonihon-2011/20120524

・「次は何を持ってどこに逃げれば良いか考えていた」 〜 日常的な避難意識の大切さ
http://d.hatena.ne.jp/oretachinonihon-2011/20120315