「チェックシート」を渡す取り組み ― 陸前高田市仮設診療所

 仮設診療所での取り組みについての情報です。

・・・岩手県医師会が陸前高田市高田町の第一中学校敷地内に昨年8月開所した仮設診療所は、5月までの10カ月間の診療実績をまとめた。週4日の診療ながら5400人を超え、とくに毎週土、日曜は合わせて100人前後の患者が訪れる。診療所では一般の初診者に「チェックシート」を渡す取り組みを続け、震災から1年が過ぎた今も重要性が指摘されている心の健康保持に力を入れている。
 市内の医療機関東日本大震災前に診療所、病院合わせて11施設あったが、8施設が被災。このうち県立高田病院は米崎町内に仮設施設を構えたが、他診療所では再開断念や、めどが立たないケースも。医師会は、現況の医療体制で不足する部分を補い合いながら運営を進めようと、昨年8月に設置した。
 施設は日赤救護所が使用していたプレハブ施設に加え、県医師会などが設けたトレーラーハウスを使用。医師派遣は北上市奥州市、一関市、盛岡市などの各医師会が協力。心療内科には岩手医科大学や県外医師らも駆けつける。
 診療時間は水、木、土曜日が午後3時から6時、日曜日が午前11時から午後4時まで対応。市内医療機関の多くが休診となっている曜目、時間帯に開設し、多くの診療科では総合診療を実施。慢性的な疾患は他病院、診療所を紹介する形をとっている。
 県医師会がまとめた実績によると▽8月292人▽9月452人▽10月580人▽11月648人▽12月751人▽1月572人▽2月583人▽3月564人▽4月603人▽5月433人―で推移。総受診者は5478人となっている。(中略)

 昨年10月からは「震災後から胃腸の調子がよくない」「血圧が下がらない」といった症状に対応する心療内科外来を予約制で開設。これに合わせ、他診療科を受診する一般住民にも、待合時間に「こころの健康チェック」と題した用紙に記入を求めている。
 用紙では、最近1カ月間に理由もなく疲れ切ったように感じたか」「何が起こっても気が晴れないように感じたか」などと質問。回答をポイント化し、高い数値の住民には看護師らが声をかける取り組みを続ける。自らの意思で心療内科を受診するケースはまだ少ないといい「受診を紹介してもらって楽になった」と、住民側から感謝を受けることもあるという。
 同診療所の戸羽伸一事務長は「今後も心のケアを大切にし、関係機関との連携も強めたい。診療所があること自体が、住民の安心感につながる」と話している・・・

東海新報(2012年6月10日付)より引用
http://www.tohkaishimpo.com/scripts/index_main.cgi?mode=kiji_zoom&cd=nws7707


岩手県医師会ホームページ
http://www.iwate.med.or.jp/

岩手県医師会はIBC岩手放送のラジオ番組にて「健康で長生きするために」(日 8:30-8:40)を放送しています。





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