FRP(繊維強化プラスチック)のリサイクル

素材の分離が困難であり、廃棄処分が難しいとされてきたFRP(繊維強化プラスチック:Fiber Reinforced Plastics)のリサイクルについての記事です。FRPは船舶・航空機・自動車などに使用されています。


・・・信大繊維学部(上田市)の水口仁特任教授(66)が、軽量で強度が高く、航空機などに幅広く利用されているもののリサイクルが極めて困難なFRP(繊維強化プラスチック)を分解し、繊維のみを容易に回収できる技術を確立した。半導体を加熱した際の触媒効果を活用。現在、企業と共に大量処理などの技術開発を進めており、実用化されれば東日本大震災で発生した船舶や自動車などFRPが使われている廃棄物の効果的な処理に活用できる。

 FRPは、プラスチックをガラス繊維や炭素繊維で補強した複合材。分解処理には強力な溶剤や複雑な工程が必要でコストがかかるため、大半は産業廃棄物として埋め立てるか、破砕してセメント材料にしている。

 水口特任教授は、半導体を350〜500度に加熱すると、高い触媒効果を示すことを発見。その後の研究で、加熱された半導体は、強力な酸化力を持つ穴が大量にできることも分かった。FRPの板を半導体の一つ「酸化クロム」の粉末の上に置き、400度で10分間加熱する実験をしたところ、プラスチックのみ瞬時に分解され、炭素繊維をほぼ無傷の状態で回収することができた。

 分解で発生したのは水と炭酸ガスのみ。この効果を利用すると、プラスチックに埋め込まれた金属やレアアース(希土類)なども容易に回収でき、有害ガスの浄化にも応用できるという。

 関連技術の基本特許は取得済み。上田小県地域や東京、名古屋市の企業と協力して、FRPを連続して大量に処理する技術などを確立する方針で、実用化を急いでいる。現在、信大繊維学部の「ファイバー・イノベーションインキュベーター施設」で研究に取り組む水口特任教授は「FRPを分解する小型焼却炉のような装置を開発できれば、被災地に設けて災害廃棄物を処理することも可能」と話している・・・

信濃毎日新聞(2012年1月6日付)より引用
http://www.shinmai.co.jp/news/20120106/KT111228ATI090013000.html




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