元旦・鶴・富士

・・・石巻市内で唯一残った銭湯「つるの湯」(同市住吉町1丁目)が、元日から営業を再開することになった。東日本大震災津波でボイラーなどが損傷し、一時は廃業も考えた。しかし「自宅の風呂が壊れたままで、親類宅で入浴している」といった再開を願う声が寄せられ、復旧を決意した。新年を迎えた大きな湯船には、気分を一新した人たちの鼻歌が響きそうだ。

創業80年を超える「つるの湯」は、戦前から庶民の風呂、憩いの場所として愛されてきた。震災前は、端午の節句にショウブ湯、冬至にユズ湯にして利用者に季節感を届けてきた。ところが、3月11日の地震で、内壁が損傷し、押し寄せた津波で脱衣所、浴室は泥で埋まり、銭湯の命とも言えるボイラーが壊れた。

経営する杉山栄八さん、きよさん夫妻は一時、営業の継続を断念し、しばらく休業(中略)。夏場以降、自衛隊が設置した仮設浴場がなくなると、付近の住民から再開を望む声が次々と寄せられるようになった。

ボランティアの協力で浴場などの泥を既に洗い流していたこともあり、石巻市の支援を受けてボイラーを入手。再開の準備を進めてきた。

復旧を手伝ってきたボランティア安土早紀子さん(27)=香川県高松市=の友人で、画家権田直博さん(30)=大阪市=が浴室の壁に富士山の絵を描いており、元日にお披露目となる。

きよさん(70)は「みなさんのおかげで再開にこぎ着けた。温かいお風呂に入り、冬を元気に過ごしてほしい」と感謝している。

元日は午後1時すぎから無料開放する。2日は休業し、3日から1日数時間をめどに営業を再開する予定・・・


三陸河北新聞社(2011年12月24日付)より引用
http://www.sanriku-kahoku.com/news/2011_12/i/111224i-sento.html





【サイト内関連記事】
・簡易風呂 簡易公衆浴場
http://d.hatena.ne.jp/oretachinonihon-2011/20110415/1302819423