「袖振り合うも多生の縁」 〜 応急仮設住宅団地に地域公民館設立

「人間は本来、助け合い、頼り合って前に進んでいくべきもの」と応急仮設団地に設立された公民館の記事です。

・・・東日本大震災で被災した大船渡、陸前高田両市の住民ら50世帯が暮らす大船渡市猪川町の轆轤石応急仮設住宅団地に4日、同市内の応急仮設住宅団地では初となる地域公民館が設立された。地域的なつながりのない入居者同士が相互扶助の精神を共有しながら交流、親睦を図り、新しい地縁社会を構築しようと組織化されたもの。同日開かれた総会で規約や役員を決め、市内133番目の地域公民館としてスタートを切った。(中略)
設立準備委員会の村上誠需委員長が「仮設住宅という住環境の中で、現代社会のひずみや陰の部分が浮き彫りになっています。人間は本来、助け合い、頼り合って前に進んでいくべきもので、公民館活動は人間の本来持っている人間らしさを取り戻すいい機会だと思います。今後とも猪川地区の皆さまのお力添えをいただきながら、肩ひじ張らず、できることから始めさせていただきたい」とあいさつ。

経過報告のあと議事に入り、公民館規約を承認。平成23・24年度役員選出では、館長に村上委員長、副館長に笹崎節子さんを選んだ。規約によると、同地域公民館は仮設住宅団地区域の世帯を会員として構成し、名称を「ろくろ石地域公民館」とした。主な活動は回覧板の回付など会員相互の連絡、美化・清掃など区域内の環境整備、会員の研修と親睦、交通安全と防犯、集会施設の維持管理など。これらの共同活動を通し、良好なコミュニティーの形成を図る。

本年度の事業計画については緊急事項対応とし、正式な計画は24年度から策定。予算も24年度から作成し、本年度分は緊急事項発生時に検討することとした。
猪川小学校のグラウンドに整備された同団地には、気仙両市各地の被災者が入居。経過報告によると、地域公民館の組織化は、団地内での生活の向上や自立への情報交換を図るための自治組織の立ち上げを猪川地区公民館から声掛けされ、検討が開始された。
同市内では現在、37カ所に合わせて1801戸の応急仮設住宅が整備されている。規模の大きい住宅団地を中心に自治会組織の結成が進んでいるが、地域公民館という形での組織化は今回が初めて。市とのパイプ役となる行政連絡員も設置され、外部からの支援が入りやすくなる。

同地区公民館の金野館長は総会で祝辞を述べ、「昔から『袖すり合うも多生の縁』といいます。偶然に出会った方々がこの縁を大切にして協力し合っていけば、安らぎが生まれ、それが新しいスタートにつながっていくと思います。地域公民館の皆さんが落ち着いた雰囲気の中で生活され、それぞれの人生を開いて行かれるよう期待しています」とエールを送った。
大船渡町で被災し、70代の母親が同団地に入居しているという女性は「母は仮設住宅で一人暮らし。これまでは人との交わりがないというのが不安でしたが、公民館の活動を通して知らない方とも友だちになれ、交流の機会も増えていくと思います」と地域公民館の設立を喜んでいた・・・

東海新報(2011年12月6日付)より引用
http://www.tohkaishimpo.com/scripts/index_main.cgi?mode=kiji_zoom&cd=nws7188


・袖振り合うも多生の縁:道で人と袖を触れあうようなちょっとしたことでも、前世からの因縁によるものだ。「多生」は、仏語で、何度も生まれ変わること。(大辞泉







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