EPZ(防災対策を重点的に充実すべき地域の範囲)の再検討 <1>

・・・福島第1原発事故を受けて県は9日、専門家による県原子力防災対策検討委員会(委員長・片桐裕実日本原子力研究開発機構原子力緊急時支援・研修センター長)を設置し、原子力災害に備えた地域防災計画の見直しに着手した。青森市内で開かれた初会合には防災対策や被ばく医療などの専門家が出席し、現状の課題や検討の方向性について意見交換した。検討結果の取りまとめは2012年3月ごろとなる見通し。(中略)
佐々木郁夫副知事は福島の原発事故を踏まえ、「多くの人が避難生活を余儀なくされ、放射性物質の影響は予想外に拡大した」と指摘。地域防災計画については「防護区域の拡大や事態の長期化、広範囲の影響といった課題の見直しを早急に検討する必要がある」と述べた。
同検討委は想定する原子力災害のレベルを、福島の事故と同程度とする―という県の方針を了承。片桐委員長は意見交換の大まかな方向性として「幅広い意見によって検討すべき内容に抜け落ちがないか確認し、整理することが重要」と提案した。
委員からは、福島で放射線障害を予防する安定ヨウ素剤の配布時に混乱が起きたことを踏まえ、「実際の現場では配り方一つをとっても課題になる」(浅利靖弘大大学院医学研究科教授)と実効性のある内容とする必要性が指摘された。
また「モニタリング調査はデータベース化できるような進め方をしてほしい」(田上恵子放射線医学総合研究所放射線防護研究センター主任研究員)など、事態の長期化に対応する姿勢を求める意見もあった。
県の防災計画は国の防災指針に基づき、2003年に策定された。原子力災害に関しては、防災対策を重点的に実施すべき地域範囲(EPZ)について、核燃料サイクル施設(六ケ所村)を中心とする半径5キロ以内、東北電力東通原発東通村)を中心とする半径10キロ以内と、それぞれ定めている。しかし福島の原発事故では半径20キロ圏内への立ち入りを制限したことなどから、国は現行の防災指針の修正に向けて動いており、原子力施設を有する本県も万一の事態に対応できる準備を独自に整えようと、同検討委を設置した。
会合後に片桐委員長は報道陣に対し、「紙の上の計画ではなく実効性があるものでなければ意味がない。住民目線に立ち、検討課題の優先順位を決めて整理していきたい」と話した・・・

陸奥新報(2011年8月10日付)より引用
http://www.mutusinpou.co.jp/news/2011/08/17466.html

・当該施設:六ヶ所再処理工場青森県上北郡六ヶ所村)、東北電力東通原子力発電所青森県下北郡東通村)、大間原子力発電所青森県下北郡大間町・建設中)

明日に続きます。