涼しい風が届きますように 〜 「うちわプロジェクト」


「自分たちが今できることを考え、実行に移す生徒たちを誇らしく思う」とは校長先生の言。そんな取り組みについての情報です。


・・・東日本大震災の被災者に手作りうちわで涼と元気を贈る、江刺区の県立岩谷堂高校生徒会(伊藤愛会長)の「うちわプロジェクト」が順調に進行中だ。3日、美術部員らがデザインしたうちわの地紙に、生徒たちが応援メッセージを記した。暑い夏を笑顔で乗り切ってほしい──。そんな純粋な願いが込められたうちわ約1600枚は今月中に、生徒会役員らによって大船渡、陸前高田両市の避難所に直接届けられる。
同プロジェクトは、気温が上昇する夏場に冷房のない避難所生活を強いられる沿岸の被災者を支援する企画。生徒会などが5月7、13の両日に市内のスーパーや市役所江刺総合支所でうちわの提供を市民らに呼び掛けたところ、同校同窓会東京支部からの郵送分を含め、県内外の老若男女から目標を300枚も上回る約1600枚が集まった。
うちわ製作は、JRC(青少年赤十字)同好会が地紙をはがして骨組みだけにする作業と、美術部、アニメーション研究部、写真部による新しい地紙のデザイン作りを並行して実施。この日は全校生徒643人のうち、県高校総体で公欠の運動部員らを除く458人がロングホームルームの時間を使って、イラストや写真などがカラー印刷された真新しい地紙に応援メッセージと自分の名前を書き込み、骨組みに貼り付けていった。
うちわの表面は涼しげな金魚や浴衣、子どもが喜ぶかわいい動物、学校で育てているマリーゴールド、勇壮な江刺鹿踊などがモチーフ。裏面は「皆の力で笑顔を取り戻そう」「涼しい風が届きますように」「被災地の復興をいつまでも支援します」など、被災者を思いやる優しい言葉で埋め尽くされた。(中略)
同校では「うちわプロジェクト」のほかにも、募金活動や地元で開かれた被災地支援イベントへの参加・協力など、震災復興に向けた取り組みを生徒会が中心となって展開。千葉仁校長は「自分たちが今できることを考え、実行に移す生徒たちを誇らしく思う。支援は継続が何より重要。今後も無理せずできる範囲で続けてほしい」とエールを送っていた。

胆江日日新聞(2011年6月4日付)より引用
http://www.tankonews.jp/modules/bulletin/index.php?page=article&storyid=841