石巻市鮎川浜の港から

・・・東日本大震災で壊滅的な被害を受けた宮城県石巻市鮎川浜の鮎川港で、金華山との定期船を運航していたシードリーム金華山汽船の成田寿広社長(41)が、同港で唯一、クルーザーで営業を行っている。網地島から本土の学校に通う子どもたちや復旧工事関係者の送迎を支えている。
成田社長は地震があった3月11日、社員と手分けして定期船1隻(定員72人)と12人乗りのクルーザー1隻を沖に出し、津波の難を逃れた。家族4人は無事だったが、自宅と車を流され、今も避難所暮らしが続く。(中略)
震災直後は鮎川港の惨状に「廃業も覚悟した」(成田社長)という。しかし、金華山を訪れる常連客から次々と励ましの電話を受け、埼玉県に住む親しい客は軽ワゴン車1台を譲ってくれた。悩んだ末、船を出し続けることを選んだ。
地盤沈下した鮎川港は満潮時に冠水する。防波堤を失った沖からはもろに波を受けるため、強風が吹くと出港できなくなる。船のメンテナンス設備も津波で全てやられ、ガソリンも思うように調達できない。
採算を確保するため、やむを得ず料金を引き上げた。「今はお客さんに我慢してもらっている。少しでも早く元に戻したい」と妻で専務の和江さん(35)は話す。
「震災で、あらためてお客さんとのつながりを実感できた」と成田社長。「船を出すことが残された自分たちの役目」と語り、港の復興を信じている。

河北新報(2011年5月29日付)より引用
http://www.kahoku.co.jp/news/2011/05/20110529t15028.htm


宮城県石巻市鮎川港
捕鯨の地。金華山、田代島、網地島への渡船の地。
http://www.miyaginet.jp/photo/m-ishi-ayukawagyokou.htm
http://www.pref.miyagi.jp/et-sgsin/Suigyo/port/ayukawa.htm