廃木材 → 建設資材&バイオマス燃料

・・・岩手大農学部の関野登教授(木質資源工学)と県立大盛岡短期大学部の内田信平准教授(建築設計)は宮古市の建設業者と連携し、東日本大震災で生じた廃木材を活用した仮設住宅供給の仕組みづくりを進めている。廃木材をチップ化してパネルとして建設資材に活用。短時間で建設できるのが特長だ。被災地では仮設住宅の早期建設を望む声が強く、がれき処理や地元企業の雇用創出にもつながる新たな試みとして注目される。
建設の仕組みは自治体が収集した廃木材のうち利用できるものをチップ化して木質ボードに加工し、パネルとして建設資材に活用。他の建材も、可能な限り本県産や県内業者の加工にこだわった。建設時間の短さや断熱性能の高さも特長。使用後に解体・保管し、再利用することも可能という。
建設費用は鉄骨を素材とする一般的な仮設住宅と同等で、2DK(約30平方メートル)1戸当たり300万円前後となる。
建築を担うのは宮古市内の建設業5社。4日には同市内で試作品2戸を完成させる予定で、関野教授らは作業のスピードや造りやすさなどを検証する。
業者は2日、取り組みを県の応急仮設住宅公募供給事業に応募。採択されれば5月中旬にも量産に入り、宮古・下閉伊地区で6月末までに計60戸の供給が可能となる。(以下略)

岩手日報(2011年5月3日付)より引用
http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20110503_11


・・・東日本大震災の被災地復興に向け、岡山大など中国5県の大学や経済団体などで構成する「中国地域産学官連携コンソーシアム」は、倒壊家屋に含まれる大量の木材をバイオマス燃料として再活用することなどを盛り込んだ復興事業計画を作成している。岩手、東北大の研究者らと連携して5月末までに案をまとめ、政府の復興構想会議に提出する。
被災地では5万棟以上に及ぶ家屋が全半壊したという。所有権が放棄された家屋などから撤去作業が徐々に行われてはいるが、処理には数年かかるともされる。
計画案は、岡山大研究推進産学官連携機構の副機構長で、コンソーシアムの渡辺裕事務局長ら20人が中心となって作成する。倒壊家屋に含まれる600万トン以上の木材を焼却処分ではなく、資源として再利用することを提案。小さく砕いてチップ化し、ベニヤ板など建材に加工して仮設住宅に利用するほか、木質バイオマスにも活用。燃料として火力発電所などに販売する。木材の回収や選別作業は現地で雇用した被災者に行ってもらい、収益は復興資金に充てる。
津波で海水をかぶった田畑の浄化に向けては、塩分を吸い上げるアブラナなどの植物を植えて土壌から除去する技術「ファイトレメディエーション」の活用を提案。この技術は笠岡湾干拓地などでも使われたという。
被災地で実際に活動してもらうため、東北大や岩手大の研究者に参加を打診。両大学から木質系バイオマス廃棄物処理技術の専門家ら11人が応じた。(以下略)

山陽新聞(2011年4月23日付)より引用
http://www.sanyo.oni.co.jp/feature/shakai/earthquake2011/news/2011/04/23/20110423105722.html


ファイトレメディエーション(phytoremediation):植物で重金属や汚染物質を吸収して土壌の汚染を除去する方法。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%88%E3%83%AC%E3%83%A1%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%A8%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3