「防災の日」<2> 防災情報のバリアフリー

 前回に引き続き、防災訓練についてです。今回は障害者や高齢者を災害から守る地域づくり、その取り組みについての情報です。
 また東京消防庁視覚障害者向けの「録音図書」を制作しています。総収録時間は、CD版、カセットテープ版とも約2時間30分、「安心・安全な生活を送るために都民に知ってもらいたい防火防災に係る情報及び消防の歴史や過去の地震といった消防に関する豆情報の2部構成」になっているとのことです。詳しくは以下の資料をご覧下さい。CD版は、デジタル録音図書の国際標準規格であるDAISY(Digital Accessible Information System)で制作されています。

東京消防庁:報道発表資料「東京消防庁視覚障害者向け『録音図書』を制作」(平成23年12月8日)
http://www.tfd.metro.tokyo.jp/hp-kouhouka/pdf/231208.pdf


・・・巨大地震に備える防災訓練が1日、広島県内であった。東日本大震災を踏まえ、障害者や高齢者を災害から守る地域づくりの取り組みが見られた。

 南海トラフ地震を想定し、福山市草戸町の芦田川河川敷と光小であった県の総合防災訓練には、同市を拠点とするびんご聴覚障害者防災連絡協議会が初めて参加。音声以外での情報伝達の方法などを確認した。

 聴覚障害者たちメンバー16人は、倒壊した家屋の下敷きになったとし、自宅に備えている笛を吹いて助けを求めた。救出された後、指定避難場所の光小へ移動。県防災会議などが今回初めて受付に置いたイラスト付き意思伝達カードで、「手話が必要」「ご飯、水をください」と伝えた。

 金尾千三会長(72)=同市沖野上町=は「耳や口が不自由なので心構えが必要。参加できなかった会員にも避難手順を確認するよう伝えたい」と話した。

 広島市南区の県健康福祉センターでは、介護を必要とする高齢者を災害時にどう支えるべきかを探る机上訓練があった。NPO法人の県介護支援専門員協会(南区)が企画し、地域包括支援センター介護保険施設に勤める介護支援専門員たち50人が参加した。

中国新聞(2012年9月2日付)より引用
http://www.chugoku-np.co.jp/News/Tn201209020034.html


・・・防災の日 箕輪町総合防災訓練−二次避難所設置訓練 初実施
 
 9月1日は防災の日です。
 箕輪町では総合防災訓練が行われ、松島区の社会福祉体育館では、大規模災害を想定し、二次避難所の設置訓練が初めて行われました。
 訓練は、東海地震伊那谷断層帯地震の発生を想定し行われました。
 午前8時17分、避難勧告の放送が町内に流れると、地区ごとに住民が避難を開始しました。  このうち、松島区の社会福祉体育館では、公民館などの避難所に入りきれなかった避難民を受け入れる二次避難所の設置訓練が行われました。
 訓練には、区民や町、社協の関係者などおよそ300人が参加しました。
 箕輪町では今年3月に地域防災計画の修正を行い、二次避難所や福祉避難室の設置などを新たに計画に盛り込みました。
 避難所では怪我をした人や障害者、妊婦など、10ほどのグループに分け、運営側と避難者役の人たちが、必要な物や対応などについて確認をしていました。
 参加者からは「知的障害を抱えた人は環境が変わると落ち着かなくなるので、気分を落ち着かせる為に、折り紙や絵を描く為の画用紙などの準備が必要」、「車いすを利用している人がリラックスできるよう、マットを敷いて休んでもらう場所を作った」などといった意見が出されていました。
 視察に訪れた、平澤豊満町長は「今回の訓練の経験を他の町民に伝え、いざというときには皆さんがリーダーシップをとり、被災した人たちが安心して避難できる環境を作ってほしい」と話していました。

手話通訳者が初の参加−箕輪町沢区の避難訓練

 沢区の訓練では聴覚障害者のために、今回初めて手話通訳者が訓練に参加しました。
 2人の聴覚障害者がその都度出される指示などを、手話を通じて確認していました。
 訓練に参加した江口功さんは「今まで参加していて理解できないこともあったが、今回はわかりやすく良かった」と話していました。
 唐澤勉区長は「健聴者の立場で今までないがしろにしている部分だった。これからは通訳にも入ってもらい、耳が聞こえない人たちにも積極的に参加してもらえるよう呼びかけていきたい」と話していました。
 沢区の訓練にはおよそ200人が参加して、AEDの使い方や消火訓練などを行い、災害時の対応を確認していました・・・

伊那毎日新聞(2012年9月1日付)より引用
http://inamai.com/news.php?c=shakai&i=201209011945210000048423


・・・視覚障害者のための情報提供ツールの1つに音声で伝える「音訳」があります。東京消防庁は今月、防火防災情報を録音した視覚障害者向けの録音図書を初めて制作しました。

 墨田区特別養護老人ホームで機能訓練指導員として働く川崎一幸さんは15歳の時に視神経の炎症を起こし、視力が急激に低下しました。いまは視界の大部分がぼやけてほとんど見えません。東日本大震災の日、川崎さんは通い慣れた道を歩いて帰ったため特に困ったことはありませんでしたが、電光掲示板などに表示されている情報が読めず苦労した人もいたといいます。川崎さんは「トイレを我慢してずっと動けず苦しかったという人もいる。聴覚障害者・視覚障害者は情報不足で孤立してしまう」と話します。
 東日本大震災を教訓に、東京消防庁視覚障害者向けに防火防災情報をまとめた録音図書を初めて制作しました。録音内容のベースとなったのは3年前から葛飾区の本田消防署が独自に制作していた音訳防災情報です。本田消防署の近藤寛消防指令補は「首都直下型地震による葛飾区の被害想定が公表され、その中で区の死者数の36%が災害時要援護者ということで、初めは点字でパンフレットを配ったが、約9割が点字が読めないという情報を受けて、音訳をやった」と話します。収録時間はおよそ2時間半で、防火・防災に関するさまざまな情報が盛り込まれていますが、視覚障害者には実施が難しい“おぼれている人を見つけた場合の救助方法”などの内容も含まれています。これについては本田消防署の近藤さんは「『視覚障害者だからといった特化した内容はやめてくれ、同じように扱ってくれ』と言われ、同じ情報を載せている」と話します。
 制作のノウハウが分からなかった本田消防署に区が紹介してくれたのが葛飾音訳ボランティアの会です。専門の講座を受けたおよそ40人のメンバーが録音図書の制作や対面朗読などの活動を行っています。葛飾音訳ボランティアの会の鶴岡幸子さんは「初めて視覚障害者用の資料を作った東京消防庁と、初めから視覚障害者用と思って作っているボランティアの会で、見出しの付け方なんかで話し合いが長引いて大変だった」と振り返ります。
 今回の録音図書は本田消防署とボランティアの会が3年間発信し続けてきたものの総集編ともいえます。川崎さんは「『聴覚障害者の人にはこういうシステムがある』とか、知らなかったこともある。あれば便利だと思う」といい、さらに日々の生活の中でも情報量の少なさがネックになっているとして「(障害者は)選択をできない。普通の人は目に入るものを見てその中から自分が必要な情報を抜いていくが、障害者はまず入り口が少ない。録音図書があるよという広報もいろいろな形でしてほしい」と話します。
 東京消防庁録音図書を図書館や障害者施設などに配布し、視覚障害者のための情報保障を進めていきたいとしています。

 東京都福祉保健局によりますと、身体障害者手帳の交付を受けている視覚障害者はおよそ3万9000人いるということです。東京消防庁はこれまでの点字や音声QRコードに加えて録音図書の普及を進め、障害のある人が「知らなかった」ということがないよう、情報量の拡充を図りたいとしています・・・

東京MXNEWS(2011年12月21日付)より引用
http://www.mxtv.co.jp/mxnews/news/201112217.html

・全国音訳ボランティアネットワークHP
http://onyaku.net/

・東京MXTV東京消防庁視覚障害者向けの録音図書



【関連記事】「災害時に避難誘導など支援 視覚障害者施設と地元企業が協定」(東京MXNEWS:2012年1月30日付)
http://www.mxtv.co.jp/mxnews/news/201201307.html




【サイト内関連記事】
・「防災の日」<1>  〜 課題を浮かび上がらせる訓練を
http://d.hatena.ne.jp/oretachinonihon-2011/20120902

地震津波時、消防団活動にマニュアル 大船渡市
http://d.hatena.ne.jp/oretachinonihon-2011/20120830

・震災復興における街づくり 〜バリアフリーとシミュレーション
http://d.hatena.ne.jp/oretachinonihon-2011/20120814

原子力防災訓練のあり方 <1>〜<2>
http://d.hatena.ne.jp/oretachinonihon-2011/20120709

・過去の災害に学ぶ <1>〜<6> 
http://d.hatena.ne.jp/oretachinonihon-2011/20120524