震災を将来に生かすための復興教育・震災学習<2> 〜 防災教育副読本の作成・改訂

 各地で防災教育副読本の作成・改訂作業が進んでいます。下にご紹介する記事にもあるように、副読本を通じ、災害においても子どもたち自らが危険を感じ、判断し、主体的に行動できる力を養うことが目指されています。
 たとえば、東京都では配布されている副読本は、私たちも簡単に閲覧することができます。以下は昨年7月に配布された副読本です。

東京都:防災教育副読本「地震と安全」
・小学校1〜3年向け(PDF:2.44MB)
http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2011/07/DATA/20l7c700.pdf

・小学校4〜6年向け(PDF:3.3MB)
http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2011/07/DATA/20l7c701.pdf

・中学校向け(PDF:5.9MB)
http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2011/07/DATA/20l7c702.pdf

・高等学校向け(PDF:3.97MB)
http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2011/07/DATA/20l7c703.pdf

 また前回ご紹介した文部科学省の「復興教育支援事業」においても副読本の作成が進んでいます。
 今まで作られた副読本については、たとえば兵庫県神戸市図書館のHP上で震災関連資料リストをみることができます(最終更新日2011年4月22日)。兵庫県で作成されているこのリストの中にある資料のいくつかは現在改訂作業が進められています。
http://www.city.kobe.lg.jp/information/institution/institution/library/117/375.html

 さらに地震調査研究推進本部事務局(文部科学省)では、一般の方・教育関係者向けに以下のサイトで情報を公開しています。併せてご覧ください。
http://www.jishin.go.jp/main/1education.html


国土交通省:土砂災害に関する副読本等一覧表
http://www.mlit.go.jp/river/sabo/fukudoku/fukudoku_hokkaido.pdf


【関連記事1】
・・・東日本大震災後における防災教育の課題と方向性について共通理解を深めようと、陸前高田市教委主催の防災教育研究員会が28日、市役所で開かれた。出席した市内小中学校の副校長らは、講義を通じて学校のみならず地域組織の動きと連動した防災対策の重要性を再認識。今後の防災教育の進め方や、年度内完成を目指す「防災教育副読本」の内容なども確認した。
 震災の教訓、社会環境変化をふまえ、各小中学校では津波注意報・警報発令時の対応や避難訓練などの見直しを進めている。市教委では現状課題などの情報共有を進め、各校での防災教育具現化を図ろうと、本年度初めて開催した。
 防災教育を担当する各小中学校の副校長ら約20人が出席。冒頭、山田市雄教育長は「市独自の研究員会となる。子どもたち自らが危険を感じ、判断力・行動力を身に付ける教育が重要。皆さんのリーダーシップで実のある形としてほしい」とあいさつした。
 「これからの防災教育のあり方について」と題し、独立行政法人防災科学技術研究所の長坂俊成プロジェクトディレクターが講義。長坂氏は震災直後から気仙をはじめ被災地に入り、被災者ニーズに合わせた支援活動や行政システムづくりなどに貢献。震災前も、防災施策の充実に向け、市職員と連絡を取り合っていた。
 各校の危機対応マニュアルに目を通したという長坂氏は「基本的な考え方はいいが、今後は具体的な展開が大事」と指摘。学校によって地理特性は異なる中、土地勘のない教職員でも迅速に対応できる体制づくりなどを強調した。
 大震災時、学校によっては児童だけでなく、訪れた地域住民も一緒に避難した実情にもふれた。「地域コミュニティーがどういう対策をとっているかの把握も大切。学校だけでなく、地域と一体となった避難訓練が重要であり、情報共有が必要」と述べた。
 講義後は、市教委がまとめた防災教育の進め方を確認。教育の目的は▽児童生徒が災害などの危険から自らの命を守り抜くため、学校・家庭・地域での防災や災害時対応を理解し、主体的に判断し行動できる力を身に付けさせる▽地域社会の一員として、安全で安心な社会づくりに進んで貢献する資質や能力を養う―としている。
 具体的には、防災教育を進める上での参考写真や映像、データ、作文、体験談を収集し、教材化を図る。また、道徳や総合的な学習の時間などでの防災教育実施に向けたカリキュラムづくりにも着手。さらに実践的な避難訓練として、登下校中や放課後時を想定した対応や、近隣仮設住宅住民との合同実施なども掲げている。
 来年度からの本格使用を目指し「防災教育副読本」づくりも進める。この中では津波発生のメカニズムにはじまり、具体的な避難行動、災害への備えを伝える方針。警察や消防団自衛隊、医療関係者、自治会など、災害発生直後から救助や復旧に向けて懸命に行動した関係者の姿や、陸前高田の復興にかける人々の思いなども盛り込む。
 研究員会は今後、9月と来年1月に開催予定。学校現場の実情をふまえて協議を重ね、25年度以降の防災教育充実につなげる・・・

東海新報(2012年5月30日付)より引用
http://www.tohkaishimpo.com/scripts/index_main.cgi?mode=kiji_zoom&cd=nws7670



【関連記事2】
・・・県教育委員会は、2012年度から、県内の公立小学校で使用する防災教育副読本「明日に生きる」の改訂版を作成した。阪神・淡路大震災の経験に加え、東日本大震災の実情や教訓を紹介。中学・高校用は12年度中に改定する。

 現在の「明日に生きる」は、阪神・淡路大震災を語り継ぎ、防災や助け合いの心を育てようと、1997年に作成。各校の授業で使用している。

 東日本大震災を受け、津波被害などを詳しく取り上げようと、学識者による検討委員会を経て、教員や県教委のメンバーら約40人が、改訂作業に取り組んだ。

 東日本大震災のドキュメントや阪神・淡路との違い、東京電力福島第1原発事故などを紹介。県内の津波被害警戒区域図も掲載したほか、2008年に神戸市灘区の都賀川で5人が死亡した増水事故や、09年の県西・北部豪雨の被害も新たに盛り込んだ。

 15万部を配布。県教委教育企画課は「副読本を活用し、想定を超える災害でも、自分で判断し、行動できる子どもを育てたい」としている・・・

神戸新聞(2012年3月24日付)より引用
http://www.kobe-np.co.jp/news/kyouiku/0004909977.shtml




【サイト内関連記事】
・震災を将来に生かすための復興教育・震災学習<1> 〜 岩手県で本格化
http://d.hatena.ne.jp/oretachinonihon-2011/20120530

・過去の災害に学ぶ<1>〜<6> 
http://d.hatena.ne.jp/oretachinonihon-2011/20120524

・「次は何を持ってどこに逃げれば良いか考えていた」 〜 日常的な避難意識の大切さ
http://d.hatena.ne.jp/oretachinonihon-2011/20120315

・心のケアNPO設立
http://d.hatena.ne.jp/oretachinonihon-2011/20111027

・親を失った子どもたちの「心のケア」と支援 <1>〜<2>
http://d.hatena.ne.jp/oretachinonihon-2011/20110914

・EPZ(防災対策を重点的に充実すべき地域の範囲)の再検討 <1>〜<3>
http://d.hatena.ne.jp/oretachinonihon-2011/20110823

・浸水リスクマップ
http://d.hatena.ne.jp/oretachinonihon-2011/20110818