仰げば尊し − 五年後 − 二十歳

・・・このうち、気仙沼中(齋藤一校長)では、体育館が避難所になっているため、多目的ホールで式典を挙行。震災犠牲者への黙祷に続いて齋藤校長が一人一人に卒業証書を手渡した。齋藤校長は、三年生は百十人全員が無事だったが、遠くの親戚に身を寄せて卒業式に出席できなかった生徒もいることなどを報告。その上で「多くの人が犠牲になった中、自分たちが生き残った意義をよく考えてほしい。今は壊滅的だが、皆さんの手で気仙沼の未来を切り開いて。今日はそのスタートの日」と式辞を述べた。
この後、最後の学年行事が行われ、恩師への感謝の気持ちを込めて「仰げば尊し」と「旅立ちの日に」を歌って三年間の中学校生活を締めくくった。
熊谷篤史君は「津波で家を失った悲しみが抜け切れていない中での卒業は複雑な気持ち。だが、ちゃんと卒業証書を受け取ることができてよかった。次に同級生のみんなと再会するのは二十歳になる五年後。その時までに気仙沼が復興できるよう、できることを精一杯頑張りたい」と話していた・・・


三陸新報(2011年3月23日付)より引用
http://www.sanrikushimpo.co.jp/pdf/03_23.pdf


仰げば尊し
(1) 仰げば尊し 我が師の恩
  教えの庭にも はや幾年
  思えばいと疾し この年月
  今こそ別れめ いざさらば

(2) 互いに睦し 日頃の恩
  別るる後にも やよ忘るな
  身を立て名をあげ やよ励めよ
  今こそ別れめ いざさらば

(3) 朝夕馴れにし 学びの窓
  蛍のともしび つむ白雪
  忘るる間ぞなき ゆく年月
  今こそ別れめ いざさらば